2008年02月17日
【業務日誌】保育ママ法制化に対する留意点〜国⇒自治体⇒保育ママの丸投げは負けパターンに〜
16日付の東京新聞に下記の記事が掲載される。病児保育とは領域が違うが、「地域による保育」を実践している立場から、政策提案を行いたい。
--------------------
『保育ママ』法制化も 待機児童ゼロ 月内に新作戦 首相方針
2008年2月16日 朝刊
福田康夫首相は十五日、少子化対策を強化するため、保育所がいっぱいで入れない子どもをなくす計画として「新待機児童ゼロ作戦」を今月中に取りまとめる方針を明らかにした。都内で記者団の質問に答えた。
「新作戦」の目玉としては、児童福祉法を改正し、自宅で乳幼児を預かる「保育ママ」制度を明記する。自宅で乳幼児を保育するには現在、保育士か看護師の資格が必要だが、子育て経験者らが一定の研修を受ければ、資格がなくても行えるよう統一基準を設けて積極的に活用する。
通常の保育所も受け入れ児童数をさらに拡大。民間企業が社内託児所を新設したり、地域に開放するなどした場合の補助制度を拡充する。
首相は同日午前、東京都内で、民間企業の社内託児所を視察。「先進的な取り組みをもっと広めていきたい。保育所整備の必要性を感じた」と述べた。
同日夕開かれた政府の経済財政諮問会議でも民間議員が、認定こども園の利用促進など、仕事と子育ての両立に向けた「新待機児童ゼロ作戦」策定を求める提言を提出、今後議論を深めていくことになった。
待機児童ゼロ作戦は、小泉内閣で二〇〇二年度から三年間実施。保育所の受け入れ児童を十五万人拡大して、〇四年度には受け入れ児童数を二百三万人に増やした。待機児童は〇三年度の二万六千人から四年連続で減少したが、〇七年四月時点で、なお一万八千人が保育所に入れないでいる。
--------------------------
上記に関しては「基本的に良いこと」であり、福田首相のリーダーシップに
一定の評価を示したい。
だが、制度設計の部分で注意しなければ、せっかくの良い施策が換骨脱胎
されてしまう。
保育ママを施設型保育所を補完する形で拡充する。これはとても良いことだ。
日本は保育所というハードを建設、拡大していくのに懸命であった。それは
保育サービスの拡大に寄与していたのだが、成熟社会化と共に働き方が
多様化し、それに伴い子育て支援ニーズの多様化が発生。対応として保育所に
さまざまな機能を付加させようという動きになったが、保育所単体にそれを
求めるのには無理がある。かくして多様な保育サービス主体の出現と、彼らが発生、持続可能な事業を行えるような経済的なプラットフォーム(保育バウチャー、育児保険などの擬似市場、等など)が必要になっているのだが、そこまでの変革はいまだなされておらず、というのが業界の概観だ。
さてそこで保育所だけでなく、地域の預かり手を養成を、預かる仕組みを法的なバックグラウンドを持たせて拡充させていきましょう、というのが今回の取り組み。保育所だけでなく、多様な子育て支援主体の育成、という時代の要請にもマッチしている。
だがしかし、これまでの自治体が独自に行っていた保育ママ制度の不具合を検証せずして、新たな制度を作ってはいけない。
昨年世田谷区で起きた保育ママによる児童虐待事件。つまり安全な
保育環境をどのように作るのか、という問題だ。
それに対してはこれまでの「役所から保育ママへの丸投げ」を改め、「保育ママ・マネジメント本部」を地域ブロックごとに置き、
彼女たちのモチベーションや保育の質、定着や離職の管理などを
行うようにしなければならない、ということを提言したい。
仕事柄保育ママの方々に会う機会は非常に多いが、自治体が保育ママの問題解決を支援し、モチベーション管理やリスクマネジメントのサポートを行っている、という例を聞いたことはほとんどない。
こどもを預かる、というのは命を預かるということだ。そこには
常に予想外の事態が起き、保育ママはその都度問題解決を迫られる。
保育所ならば常に何人かの職員がいるので、チームでの問題解決が
可能だ。しかし保育ママは単独でこどもを預かる。そのサポート体制がしっかりと組まれていなければ、小さな問題が積み重なり、やがて大きな問題や事故へと繋がっていってしまうだろう。
そして「だから役所がしっかりマネジメントせよ」とは僕は思わない。
率直に言って役所がそれだけの業務を行うのは、大変な負担である。
彼らは地域保育のプロではない。たとえ保育士出身の事務方の主幹や副主幹レベルの人間を担当者においたとしても、保育所のマネジメントと地域保育のマネジメントは全く似て非なるものだ。
というわけで、地域保育(地域の担い手が行う1対1の保育)を行っていた事業者(NPOやあるいはベビーシッター会社でも良い)に保育ママ・マネジメント本部機能を委託し、現場の質改善のPDCAサイクルを回させるべきである。
※というと社会福祉協議会などに投げられてしまうのであろうが、僕は社会福祉協議会などが
1.自治体職員の天下り先になっていたりする
2.役所の委託と補助によって成り立ち、競争原理が働いていないことで、進取の気性がないところがほとんど
3.自治体のアウトソース業務が集中することで、他の事業者が育たない
という理由で反対する。(僕がお付き合いのある社会福祉協議会の現場レベルの人は非常に頑張り屋さんが多いけれど)
というわけで、政策担当者の方々には、ゆめゆめ上記の点に
注意しつつ制度設計を行って頂きたい、と思わずにはいられない。
------------------------------------------------
当記事は、NPO法人フローレンス 代表理事駒崎弘樹の個人的な著述です。
病児保育を仕事にしたい、求人・就職に興味がある、という方は、こちらまでどうぞ。
いつもご支援頂き、誠にありがとうございます。
これからもどうぞ宜しくお願い致します。
_______________________
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/84433752
この記事へのトラックバック
【育児保険】の口コミ情報を探しているなら
Excerpt: 育児保険 に関する口コミ情報を探していますか?最新の検索結果をまとめて、口コミや評判、ショッピング情報をお届けしています…
Weblog: 人気のキーワードからまとめてサーチ!
Tracked: 2008-04-07 19:15
http://blog.seesaa.jp/tb/84433752
この記事へのトラックバック
【育児保険】の口コミ情報を探しているなら
Excerpt: 育児保険 に関する口コミ情報を探していますか?最新の検索結果をまとめて、口コミや評判、ショッピング情報をお届けしています…
Weblog: 人気のキーワードからまとめてサーチ!
Tracked: 2008-04-07 19:15




病院で働く一小児科看護師、私個人の意見です。昨年フローレンスの事務所を見学させて頂きました。保育所の施設内マネージメントとは違った特異的なマネージメントを行っていました。そのマネージメントは通信も交えたスタッフ間、スタッフを利用者間のコミュニケーションを密にする手法。まさに地域保育のマネージメント。研修プログラムや常勤本部スタッフの業務からも保育ママのマネージメントにはぴったりだと思います。
僕も少しずつ子供たちのために何をさせて頂けるか・・・。子どもを愛する働くお母さん・お父さんのために何ができるか考え続けて行きたいです。
今後の保育ママ法制化の動向が楽しみです。
大阪堺市看護師 笠原 健