2008年02月05日
【業務日誌】NPO業界どうなったら良いのかメモ
最近よく「NPO業界全体が発展するためにどんな制度が必要か」という
テーマで議論をするが、正直まだまだ自分は不勉強だ。
そもそも実務家なので、あまりマクロ的にどうこう、というのは
苦手なのだけれども、足りない脳みその中で考えてみる。
まず現在NPO法制定のお陰で大量の、18000近くのNPO法人(特定非営利活動
法人)ができた。公を担う民間団体の裾野は、拡大してきた、と
言っても良いだろう。
しかしその実態は田中弥生氏が指摘するごとく、多くは1000万円以下の
零細企業であり、更に多くは経済的自立を達成しえていない。
業界全体を以下に発展していくか、という立場に立った時、「もっと
たくさんの団体をつくろう」と「ベストプラクティスを作っていこう」の
大別2種類のアプローチがあるだろう。
前者だと「中間支援団体(インターミディアリ)の強化」という政策に
結びつく。これまで長年取られてきた施策である。
だが、僕自身としては既に数を増やすというアプローチではなく
後者の「ベストプラクティスを作っていこう」というフェースなのでは
なかろうか、と思っている。
ちゃんと機能する、社会インフラを担える団体を育成し、成長ルートを
つくり、多くのNPOがそれをめがけていくような仕掛け、が必要では
ないかと。
そこで提案する。「NPO業界の2段階発展スキーム」である。
現在のNPO法人の一つ上に「社会企業法人」を作る。
イギリスでは2005年に作られたコミュニティ・インタレスト・カンパニー
(CIC)という法人格があり、韓国ではCICを参考にして昨年「社会的企業
育成促進法」ができ、社会的企業に認定されたNPOには
1.低利子融資
2.特別助成金
などなどが受けられるということになっている。
韓国の社会的企業制度はCICに上記のような優遇策を追加しつつ、
マイノリティ雇用などの制約をつけている、というのがIMFショックに
よる大失業社会を経験したがゆえの文脈をしょっている。
日本の場合は「広がるNPO業界を質的に深化させる」ことを目的に、
営利企業におけるIPOのようなイメージのプラットフォームを、
社会企業法人をつくることで作り得まいか。
というわけで「私案」レベルで考えてみると、以下のような
感じ。
・社会企業法人はNPO法人からの登録変更によって得られる法人格で、
NPO法人としての活動実績が5年以上必要。
・第三者機関による審査によって法人格付与
・ついでに「公益性」の認定も第三者機関の持つ基準に照らし合わせて
認定
・公益法人認定法別表の23の事業にあてはまるもの
・自治体からの補助金依存率は10%以下
・予算規模は借入金を除いて3期以上1億円を越す
・3期続けての黒字決算
・決算書などのウェブ等による公開
・主務官庁による財務状況のチェック→リビングデッド(生ける屍)団体の
排除
という制約を越えた団体に対して
・低利子融資
・寄付金の控除
・法人所得税の免除
を与える。
ここらへん経済産業省さんに聞いたところ、
「何でその団体に優遇を与えるか、のロジックがないと・・・」
というところだったのだが、公益性の部分は現在の公益法人改革の
ロジックをそのまま使って、民間有識者会議に委ねつつ、
現行NPO法人の発展のためのステップ創造、というのを
ロジックにできまいか。
ただ、現在の公益法人改革での「公益社団法人」に税制優遇などが
もたらされるとすると、(08年12月に制度が施行なので詳細はいまだ
知らず・・・)、フローレンスを含めて多くのNPOがそのまま公益
社団に鞍替えするだろうし、そうなったらNPO業界の発展スキームも
何もないだろうな、という感じである。
(というよりも「公益社団法人」がメリットのある形になった場合、
NPO法人という税制メリットのない法人の存在意義がなくなるわけで、
公益法人改革がひと段落ついたら、NPO法人制度改革の必要性が
出てくるであろう。)
いずれにせよ、世の中は事業型NPOの育成のためのスキームという
文脈では動いておらず、わけの分からない現在の社団や財団の
整理という方向で動いており、制度論としてはもう一つ作りましょう、
というのはまあ難しいのかな、と今考えつつ思ったり。
だとしたらイギリスや韓国のように制度設計による業界創造という
マクロ的アプローチではなく、アメリカのようにひたすら実力派
NPOが出てきて企業とガッツリ実績を出しまくって、事業型NPO化を
既定事実化させていくか。しかし結社主義(アソシエイショニズム)
なき日本においてそういったダイナミックさは可能や否や。
あるいはイギリス的アプローチもできず、アメリカのような実力派
ソーシャルビジネスもあまり現れない、中途半端な状況のまま、
公を担うプレイヤーの育成に失敗していくか。
第三の輝ける道を模索すべく、我々は想像力と構想力を結集しなければ
ならない。いずれにせよ。
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当記事は、NPO法人フローレンス 代表理事駒崎弘樹の個人的な著述です。
病児保育を仕事にしたい、求人・就職に興味がある、という方は、こちらまでどうぞ。
いつもご支援頂き、誠にありがとうございます。
これからもどうぞ宜しくお願い致します。
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Excerpt: ルルです。先日、とあるパーティーで若手社会起業家として注目を集めている(特活)フローレンスの駒崎弘樹さんにお会いしたときに、新公益法人制度のことをお話ししところ、駒崎さんは早速その晩にお調べになって...
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Excerpt: 認定NPOと新公益法人の比較表
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そのためには、実力派の自然発生を待つだけではダメというのもその通りだと思います。
ただ、法人制度改革などの政策頼みだけがマクロ的アプローチではありませんよね。
私見としては、民間からのマクロ的アプローチこそ日本がとるべき「第三の道」ではないかと考えています。
南アフリカのSASIX、米国のGlobalGiving、英国のTriodos Ethexなどの例は、まだまだ発展途上ですが、学ぶべき点は多いと思います。
なるほど、それらのNPOについては全然不勉強でした。ありがとうございます。
もし事例集みたいなものがあったら、教えて下さいませー!
また、もしよろしかったらmixiのソーシャルファイナンスのコミュ(http://mixi.jp/view_community.pl?id=2877789)も一度覗いてみてください。例えば非営利組織向けの信用保証制度といったトピックについて、なかなか興味深い議論が出てきています。
以上ご参考まで。