ワークライフバランスを旨としつつも、最近は妙に忙しい。
ふとそんな時に、友人から携帯メールが到着。
「Iちゃんの結婚式2次会の招待メール送りたいから、パソコンの
メールアドレス教えて下さい」
Iちゃんは、10年くらい前に、生まれて初めてつきあった子であった。
結婚、ねぇ。
小さく呟いてみる。頭の奥の奥の方で、古い映写機がカラカラ回って、
変なスピードの無声映画が流れる。
男子校生の自分。その子の誕生日に何かプレゼントしながら、
目をつむって告白。喜ぶ自分。よく顔が見えないが、多分笑っている
あの子。
青春だなぁ、自分。あれ、あのプレゼントって何をあげたんだっけ・・・。
フィルムを巻き戻してみる。真っ白な袋と赤いリボン。四角い。
袋から出される。本。
あ
これは
詩集だ。
しかも自作の(爆)
オワタ。
時間よ、戻れ。
これは、わが人生においてもっとも恥ずかしい一品である。
そうだ、その頃の自分は本を読みすぎ、すっかり文学青年気取りで
詩を書きまくり、こっそり大手新聞の詩のコーナーに投稿し、
掲載されてはほくそ笑んでいる、完全にイってしまっている少年であった。
更に恥ずかしいことに、偶然その新聞を読んでいた英語の先生に
発見されてしまい、A3わら半紙にびっしりと賛辞の批評を書かれ、
学年全体に配布されてしまったのだ。
男子校である。穴があったら、即ダイブして2年くらいこもっていたい。
なぜかそれに懲りず、確か書き溜めていた詩を義理の兄のマックを
借りてせっせとカタカタと打ち込み、編集してもらって、製本したのだ。
それをなぜか例の子にあげようと、トチ狂ってしまったのだった。
愛する子には、オンリーワンのプレゼントだ!
怖い、自分が、怖い。
その子とは半年くらい付き合って、あっさり振られてしまった。
理由はあまり覚えていないが、そういえば
「親と仲良くないから」と「口だけだから」だったような気がする。
今もあんまり改善されてない。
まぁ、色々あったけど、幸せになってくれたようで、ほんとに
良かった良かった、と思いつつ、
ふと、嫌な予感がした。
よもや、あの詩集、残ってないよな。
世界でひとつだけの詩集(爆)
あれだけは、この世から消えてしまっていてほしい。頼むから。
うん、ないない。もう10年も前だもん。
あー、でもあったらどうしよう。
結婚式で聞こうかな
「もちろん捨てたよね?」
とかっつって。
いや、それこそ不審者だな。
とりあえずこのことは、もう忘れよう。
結婚パーティーも「欠席で」と返信。
あの子は今も、あのはにかんだようにこっちをじっと
見てくるような目をしているのだろうか。
その目を見ることはもう無いけれど、世界のどこかで
その子が幸せでいてくれれば、何となく自分の一部が
温かな陽光に照らされているような気分になり、悪くない、と
思った。
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当記事は、NPO法人フローレンス 代表理事駒崎弘樹の
個人的な著述です。
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結婚式、出席しましょうよ。
それで空白の10年間を綴った詩集を新たに渡すべきです!(笑)これまた一生の思い出になりますよ、骨は拾えませんが。
「ん、何んのこと?」
「え、あれだよ、えーと最初の誕生日に渡したやつ」
「えーと、何だっけ?」
「し、し、いや、覚えてないならいっか…」
「なになに、気になる〜♪」
みたいな展開になりそう。
そんな無責任な・・・(笑)
既婚者としては、やっぱり僕に素晴らしい
記者の女友達を紹介してくださって、しかる
べきではないでしょうか(笑)
>takuchanさん
おそらく「気になる」とさえ言ってくれない
可能性のほうが、ぶっちゃけ高いですね(笑)
>健二さん
それは素敵な話ですね。いや、良い話です。
僕はキャラが3枚目なので、ちょっと難しいかな
と(涙)