2012年09月10日

「今の小学生のうち65%は、今存在しない仕事につく」時代の子育てに求められるもの


米デューク大学のCathy Davidsonの研究によると「2011年度にアメリカに入学した小学生の65%は、大学卒業時には今は存在していない職に就くだろう」ということ。


なかなかに衝撃的な数値だけれど、自分が小学生だった時にWEBアプリのプログラマーやらドコモショップの店員やら社会起業家やらがいなかったことを考えると、さもありなん。きっと日本もそうなるだろう。

そうだとすると、僕たちはどのように子ども達を育てていけば良いのだろう、という疑問が湧く。「とりあえず良い大学に行けば正社員にはなれるだろうから、今は宿題頑張れ」というだけでは、正しい教育指針とは言えなそうだ。この問いに保育(就学前教育)業界にいる自分として考えてみたい。

【学びの常態化】
グローバル化が進み、簡単な経理処理などは大連かムンバイでやってくれるようになると、ホワイトカラーは取替え不可能専門性が必要になる。しかも技術は日進月歩。3年前の花形サービスを支える技術は、今はもはや影もなし、ということは頻繁になるだろう。

とすると、「何かの専門性がある」だけでは足りず、「何かの専門性を連続的に身につけていく」という姿勢が問われることになる。とすると、職場に行って仕事するだけでなく、常にどこかで(多分おおかたオンラインで)、いつも学ぶ必要が出てくるだろう。

【コラボレーション・リテラシー】
とはいえ、皆が皆、職人よろしく黙々と1人で仕事に打ち込んでいく、ということにはならないだろう。先進国においては数と価格だけでは新興国には勝てないため、価格競争に陥らないイノベーションを生み出していかなくてはいけないとすると、むしろ異なる専門性同士を組み合わせる(新結合する)必要が出てくる。

そうすると、違う専門性の人々同士が(時に違う国にいながらにして)コラボレーションしつつ、プロジェクトベースで動いていくことになっていくだろう。とすると、「意見の違う人達とコミュニケーションし、目的を達成していく」というリテラシーが必要になってくる。

【問題を見つけて試行錯誤しながら解決する】
専門性にもとづいてコラボレーションしつつ、やることは何かといったら、多分20年後も「問題解決」であることは変わらないだろう。誰かが困っている、何かがうまくいっていない、そういうことを見つけて、そこを新たな技術や仕組みで解決していく。「これって課題じゃないか?」と気づく力、そしてそれに対し「こうすれば良いじゃん?」と仮説をつくり、仮説を現実で検証していき、また仮説をつくる、という「試行錯誤する力」
これらは時代の移り変わりに関係なく、いやむしろグローバル化による既存枠組みの変動によって、より必要とされてくるだろう。

【連続的学びとコラボレーションと試行錯誤を下支えする力】
連続的に学び続けるためには、「学ぶのは楽しい」「もっと知ろう」という心の傾き、すなわち「内発性」が必要になる。また、コラボレーションには、他者に可能性を認め、そこに言葉によって働きかける「他者への信頼感」が重要だ。そして問題発見・解決力のための試行錯誤には、何度間違えても、ブロックを組み直していけば正解に到達するのだ、という「自己肯定感」が必要となる。ならば、親達はこれらの力を子どもたちが身につけられることを、後押ししていけば良いのではないだろうか。

【どのように働きかけるか】
子どもの内発性と自己肯定感を引き出すために親ができることは大きい。大切なことの一つに、子どもたちの努力を褒めることだ。この時、間違えやすいのは結果を褒めることではないということだ。100点を取ったことではなく、100点を取るような勉強をしたことを褒めること。「頭良いね」ではなく、「頑張ったね」と働きかけること。

子どもたちの自己肯定感を切り下げる言葉は、もってのほかだ。「お前は馬鹿だ」「何度言ってもできない子だ」等のネガティブ発言は、それ自身に行動変容を起こさせる力はない。親のカタルシスは得られても、子どもの行動変容と人格形成には負の影響を与える。

また、子どもたちの試行錯誤にエールを送ることが重要だ。間違いを先回りして親が答えを出すのではなく、間違いを許容し、起き上がって取り組む姿勢に拍手を送ること。いくら間違え続けても、親はそれと関係なく、子どもたちそのものを愛している(全存在を承認している)のだ、と繰り返し語りかけること。

さらに他者への信頼感は、遊びを通して育まれる。同世代や異年齢、多様な他者と遊ぶことで、子どもたちは他者が自分と同様に喜び、楽しみ、悲しむという感覚を獲得していく。

【まずは親から】
このような働きかけが親として重要だが、しかし最も重要なのは、僕たち親自らが、その試行錯誤を見せることだろう。本を全く読まない親が、子どもたちに本を読みなさいと言っても、子どもたちは言語ではなく親の「ありよう」に、より感化される。

とすれば、私達親は、自らに問わなくてはならない。連続的な専門性を獲得するために、自らが常に学び続けているだろうか。職場の愚痴ばかり言ってないで、仕事で尊敬できる他者について、そしてその他者と如何に試行錯誤しながら問題解決していっているのか。そしてそれが如何に楽しいのか。こうした話を食卓を囲みながら、子どもたちにしているだろうか。

何も完璧にできなくても良い。むしろ完璧であることは有害だ。不完全ながらも、試行錯誤し、その努力を笑ってやっている親自身の姿が、子どもの胸に確固としたロールモデルとして芽吹いていくのだ、と僕は思う。

【おわりに】
自分達の価値観は、20年後に間違いなく古び、世界の実相とはかけ離れる。「大企業は安定しているから、大企業に入りなさい」と伝えるような、自分達の親達がそうだったように。しかし臆することはない。僕達も学び続ければ良いのだ。

未だ出現せぬ未来を憂うことなく、笑いながら。


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当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。

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posted by 駒崎弘樹 at 10:53 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
一昨年?出版された 「『デジタル脳』が日本を救う」(安西祐一郎)を思い出しました。
 確かに、30年前には想像もできなかった現在ですから、30年後もおそらくでしょう。目の前の子どもたち一人一人を大事にしてやりたいと思います。
Posted by ni-na at 2012年09月10日 11:57
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