2010年10月04日

愛のスパルタ助産師


大手小町コラムに対するコメントのネガティブなフォースにあてられ、ダークサイドに落ちそうな昨今、皆様いかがお過ごしでしょうか。

一体いつまで気力が続くか分かりませんが、病児保育問題を全国的に取りあげて下さった読売新聞への恩返しということで、頑張って書き続けて参りたいと思います。

----以下コラム転載----------

【大手小町】愛のスパルタ助産師


産院は結婚式場と見まがうばかりの豪華な施設。ご飯もホテルの食事並みにゴージャス。こんなところで産後ゆっくりできて、妻は幸せだなぁ、と思いきや。

出産時の出血が大量で、貧血で寝たきり状態。膀胱炎も併発。産まれた赤ちゃんを愛でる、という余裕はない。昼間は病室で起きているのがやっと、夜はナースステーションに預かってもらう、という生活であった。

僕はと言うと、張り切って毎日お見舞いに行き、新生児のミルクあげからおむつ替え、と前のめって手伝った。調子が悪い妻に代わって、僕がやらねば、と鼻息荒く動き回った。

ついに明日退院だ、という日。妻と娘の二人きりの夜の病室。娘が泣きやまなくなったので、妻がナースコールを押して助けを求めた。これまでの担当の方とは別の人が哺乳瓶を持って駆け付けてくれたが、ミルクのあげ方がぎこちない妻を見て、
「あなた全然世話ができていないじゃないの。今までどうしてたの?」
と激詰めスタート。
「体調が悪かったので、夫がやってくれていました。」
と妻。
「母親は貴方なのよ!赤ちゃんが泣いたら、どうして泣いたか気付いて、世話できなきゃだめじゃない!今夜は一晩ずっと自分でみてみなさい。帰ってからは誰も助けてくれないわよ。」

とがつんとスパルタ指導。
「すいません、自覚が足りませんでした(涙)」
と妻は謝り、何とか頑張って一晩ほぼ徹夜で娘の面倒をみたのであった。

その話を退院日である次の日に聞き、僕は複雑な思いになってしまった。
自分が積極的に病室で面倒をみたことによって、妻が娘と適切に触れあう時間と機会を奪ってしまっていたのかも知れないな、と。
とはいえ満身創痍の妻に色々とやらせるのも可哀想だし・・・。

もはやナースステーションなき自宅に戻るタクシーの中は、暗澹とした気分に包まれたのであった。


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当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
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posted by 駒崎弘樹 at 11:45 | Comment(4) | TrackBack(0) | お仕事で書いた文章 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメント見たけど、ネガティブ?(叱咤?)な発言にも筋が通っていると思うよ。
「育児よりも家事が」とか、言われてみればそうか、と納得がいく指摘だよね?

イクメンというバズワードのヨシアシはさておき、

ぜひ、男性の言葉で、
 「お母さんはこんなところに困っているのだ」
 「男性はこんなフォローの方法があるのだ」
という事を体験談として綴ってもらいたいと思います。
(フォローというより主体となれ、という話もさておき^^)
Posted by raykov at 2010年10月04日 17:20
出産した病院で、まさに同じ状況下にありました!隣りにいたママがf^_^;
彼女も出産時の出血が多く、産後もしばらく点滴したり、顔色悪かったり。
確かに体が辛くて度々ナースコールしてたんだと思いますが、赤ちゃんが泣く度にナースコール。帰る日が近づいてきたら、さすがにビシッと言われていました(>_<)
隣りにいた私はその夜、啜り泣く彼女に声をかけられませんでした。それまでの何度とないナースコール嵐を見ていたので。
母となった以上、留年も飛び級もできないですからね。今やるべき育児をきちんとしていかねばですよね。
Posted by 水○氏。 at 2010年10月05日 21:30
前に一度、コメントさせていただいたことのある者です。
通りすがれないなーと思い、コメントします(笑)

その後、大丈夫ですか?ナースステーションなんてどこの家にもないので安心してください。みんな状況は同じです。手探りなんですから。
我が家なんか、緑のウンチョスに驚いてブツをビニールに入れて夫婦で小児科に駆け込んだりとか(今思い出すと恥ずかしい。先生に申し訳ない。)そんなこともしました。

あと、あまり難しく考えないで下さい。赤ちゃんはみんなで育てれば良いと思います。産後、奥さんの調子が悪ければ、旦那さんが頑張っちゃうのはしょうがないっていうか、むしろ、それしかないじゃないですか(笑)

まだまだ始まったばかりです。徹夜もこれからです(そういうタイプの娘さんでないことを切に祈ります。家の娘は昼夜逆転で苦労しました。童謡の『夕焼けこやけ』を朝日に涙しながら何度歌ったことか)。

私の母親が、私が娘を出産した直後に言っていました。
「育児は大変だろうけど、赤ちゃんは、宇宙服も着ないで、宇宙に飛び出たようなものなのよ。まずは夫婦でゆったり守ってあげなさい。」と。

新ちゃん、良い名前ですね。まっさらな気持ちで育児しましょうよ。

大変でしょうけど、お互い育児頑張りましょう!ファイトです!

Posted by 通りすがり at 2010年10月07日 20:58
>raykov

家事はもちろんやってるんだけどね。
怨念コミュニケーションの人達のコメント読むと疲れるわ。

今後は家事の話もちりばめていくよー。

>水○さん
ありがとうございますー。とはいえ、
産後うつ等が社会問題化している時にびしっと言えば良いっていうだけではないかなあと思いますが・・・。
頑張ります。

>通りすがりさん

ありがとうございます!大変励まされました。宇宙服を着ないでこの世に来てくれた娘を包む、大気となりたいと思います。
ありがとうございました。
Posted by 駒崎弘樹 at 2010年10月08日 10:23
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