岐阜に講演に行ったついでに、東海地方でインターンシップ・創業支援を行っている社会的企業のG-netを訪問。

G-netの秋元代表とは、実は大学時代のインターン仲間。すごく小さいコンサル会社で一緒に働いていました。その後僕はITベンチャー経営者を経てNPO経営者、秋元は色んな政治運動に関わった後にNPO経営者。10年後に二人してNPO経営者やっているとは、1ミリも思っていなかったね、と微苦笑。
さて、G-netオフィスに行く前に、岐阜の街をドライブして見せてもらったところ、すごい。何がすごいって空洞化が。ストリート一本全部シャッター通り、という怒涛の衰退っぷり。これはまずい。一般的に、中心市街地の衰退化は治安の悪化を伴う。治安の悪化は街のイメージを損ない、出店や企業参入を阻害し、更に空洞化は進み、財政を損ない、住民たちの生活にまで影響を及ぼしていく。
アメリカでよく見られるゴーストタウン化→スラム現象の前兆的なものが、日本でも見られ始めてきた、という顕著な事例として岐阜市が挙げられるだろう。
さて、こうした状況における対抗策は地域資源を梃子にした、経済活性化策。例えば拙訳書「あなたには夢がある ―小さなアトリエから始まったスラム街の奇跡」で取り上げたピッツバーグなどは、大学や病院、大企業等の地域資源を使ったソーシャルビジネスを立ち上げ、活性化の引き金を引いていった。
岐阜においては、経済下降線といえど、いまだ頑張る底力のある中小企業群が地域資源。ならばそこに若者をホンキ系インターンシップという形で結びつけるのが、Gネットのお仕事。大学生達が枕を作る職人企業のところや、うちわを作る会社、地域の商店、そういったところに半年どっぷりコミットしていく。現場で汗をかいた学生の中には、きっと小さな企業で働く面白さに目覚める人間もいるだろう。そうした学生は地元での起業の道に行くかもしれない。彼/彼女が作った企業が地域で雇用を生み、経済を下支えしていく。

実際にGネットは東海若手起業塾というビジネスプランコンテストも実施していて、地元で起業する若手を育てているという。
はっきり言って地方の最大の産業は役所だ。もっとも多くの人間を雇用し、最も多くの金を持っている。県庁(行政)か農協(準行政)に行くのがエリート街道だ。
これでイノベーションが生まれるわけがない。役所はお金を使うところだ。生み出すところではない。生み出すのは企業であり、それは起業家からしか生まれない。起業家は、とんでもないリスクテイカーだ。しかしリスクテイカーがいなくては、雇用なんて生み出されないのだ。
しかし日本では、リスクテイカーは尊敬されない。
「起業家を尊敬するか?Yesは日本は20%、欧米80%」
http://goethe.nikkei.co.jp/column/matsumoto/081201_01/
何かが違う。地域で事業を起こす人間が生まれねば、国からの補助金が地方に落ちなくなった時点で(今そうなりつつあるが)、地方は、我々の郷土は荒廃していくだろう。
挑戦者よ、出でよ。そして挑戦者に拍手を。
ダメだししか能の無い傍観者たち、一見支援者ぶりつつ、
「いやぁ、彼らは最近心配だよ」とのたまうしたり顔の評論家ちゃんたち。こうしたやつらをかき分けて、それでも挑戦者よ、
立ち上がれ。
挑戦者たちを生み出そうと、自らも挑戦者であり続ける岐阜県屈指のソーシャルベンチャー、G-netに、拍手。
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当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
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「すごいね」とか「大丈夫?」とか…なんだか他人事のような言葉が多い気がします。
そうですね。僕もリスペクトと言うより、扱いとしては珍獣のそれでしたね。
NPO経営者だとなおさらです。
しかし少なくとも、僕が死ぬまでには挑戦者に拍手を送れる日本社会にさせていきたいなと思いますー。
と、文字で読んでも実感がわきにくいかもしれませんね。
百聞は一見に如かず、ではありませんが、目の当たりにすると、そのすざまじさは、有無を言わせぬ力があります。
かつての繊維の町は、どこも同様ではないでしょうか。
当然、一番危惧し、一番もがいているのが地元岐阜の方たちだと思います。
JAMのにしもとさんだったら、どう取り組まれるのだろう?なんてことを考えたりします。
まさに地方の疲弊は進んでいますね。工場誘致型の産業振興から内発的産業創出へ。それには行政の力だけでは叶いません。起業家を輩出しやすいよう、大学・行政・企業がぶつかり合いながらも汗をかかなくてはいけないと思います。