2009年11月03日

平均株価とうつの相関関係がある国、日本


敬愛するソーシャルビジネス経営者、荻原国啓氏率いる(株)ピースマインドが、7000人に渡る大規模なメンタルヘルス調査をした。
(株)ピースマインドは日本で初めてオンラインでカウンセリングを始めたイノベーターで、こうした調査研究をしてメンタルヘルスを壊す社会的要因を世の中に提起していこうとされている。

メンタルヘルス調査の結果は、下記のネットニュースを引用。

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40代のカウンセリング利用者約10%増【ピースマインド調べ】

2009年10月31日08時00分 / 提供:CAREERZine
CAREERZine

 メンタルヘルスサービスを提供する株式会社ピースマインドの調査・研究組織「ピースマインド総合研究所」は、6964件のカウンセリングデータをもとに、リーマンショック後の利用者の相談内容について調査・分析、その傾向をまとめた。

 調査結果によると、うつ傾向のカウンセリング利用者が、リーマンショック時の2008年10月から2009年3月までの間に、47%から60%まで増加した。

 なかでも、40代のカウンセリング利用者が28%から37%へと大きく増加。従来の傾向として、利用者は30代の占める割合が最も大きかったが、2009年2月には40代が最大利用層となっており、初めて30代と逆転する形となった。

 具体的に悩んでいる内容としては、「仕事の質」に悩む利用者が12位から5位に上昇。他方、「職場外の人間関係」に悩む利用者は6位から11位に後退した。

 調査元では、「景気の低迷は、経済的不安や業務変化などにより、ビジネスパーソンのうつ傾向をまねき、特に企業経営や家庭の経済的基盤を支える40代ビジネスパーソンのメンタリティに大きく影響するといえる。また、うつ傾向の利用者数は日経平均株価の下降と共に増加し、そのピークが株価底値の時期と一致するなど、年間推移においても連動性がみられ、何らかの相関関係を示すものとして注目できる。今後さらなる研究につなげたい」と考察している。

 本調査は、ピースマインドの契約企業・団体従業員及びその家族のうち、カウンセリングサービス(対面、電話、オンライン)の利用者、男性:3647件、女性:3317件、計6964件(のべ件数)を対象に、2007年10月-2008年9月、2008年10月-2009年9月の計2年間、カウンセラーによって記録されたカウンセリングデータをもとに、DSM分類による利用者の疾病傾向と、環境的要因を解析した。

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尊敬する自殺対策NPO、「ライフリンク」の清水代表も、「自殺と経済状況は関連している」と仰っていた。すなわち、メンタルヘルスや自殺の問題は、「心が弱い人の個人的な問題」ではないのだ。それは社会の環境変化を変数として、常に一定の犠牲者を生みだしてしまう「社会現象」だ、ということが近年明白になりつつあるということだ。

だとするならば、自殺にせよ、メンタルヘルスにせよ、それは我々の社会の問題だ、と社会全体で本腰を入れねばならないのではないだろうか?

さらに僕は思う。経済の悪化によって、命まで、心の健康まで奪われないといけない社会ってどうなのよ?

日本よりずっと貧しい国だってたくさんある、あるいは世界のほとんどが日本より貧しいにも関わらず、日本の自殺率は世界でも非常に高い水準だ。(アメリカの2倍。)

単なる経済成長が処方箋ではないことが明らかだ。なぜなら経済が成長しても、景気の変動は必ず発生し、そしてそこで犠牲者がまた生まれる。
景気の変動があっても、自殺するほど、鬱になるほどじゃあないよね、と受け流せる、あるいは個人を守れる社会体制はつくれないものか?

むき出しの経済に個人の命や心を奪われてしまったら、何のための経済なんだ。経済という翻訳語の基になった「経世済民」は「世を経(おさ)め、民を済(すく)う」から来ているのにも関わらず。

もやいの湯浅氏のいうような「溜め」が必要あ。転んだって、挫折したって、友達や家族や地元の仲間がいて、「まぁ人生そういうこともあるっぺな」と肩をたたき合う。そうしたものを創りだせるかどうか、は経済学者に任せていてできることではない。我々個人が動きださねばならないことだ。

友人や家族や地元を大切にできるような働き方、生き方を、われわれは選択できているのか。景気がどうとか、経済がどうとか、当事者にならずとも語れることだが、「人を殺さない社会」については、誰しもが当事者として語らねばならない。我々の身近な愛する人が、そして我々自身がいつ社会に殺されるか分からない、この時代においては。

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当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
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posted by 駒崎弘樹 at 13:27 | Comment(4) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こまちゃん、多くの人が読むブログで書いてくれてありがとう。自殺解決、そして三流ながら社会起業に携わるものとして。

「命で責任をとることは美しい」と考える、日本人の悲しい文化が、業績不振と自殺を関連付ける根底にあります。

同時に、「精神科・心療内科にかかるのは恥ずかしいことだ」という悲しい精神論もあります。

2つの壁があるので清水さんが「自殺遺族」を問題解決のレバレッジに考えておられるようです。僕ら日本患者学会(ブルーバード)がやろうとしていることは、後者を破ることです。解決にビジネスモデルを作り、悲しい価値観を変える。「ビジネスには固定観念を破る力がある」と信じています。

ワークライフバランスが経済にマイナスだと、まだ根強い「思い込み」があります。10年前は、環境経営は企業にマイナスだと誰もが「思い込んで」いました。だから、必ず変えることができる。

読者の皆様、盛り上がっている場の話題には今は難しいのかもしれません。でも、どうかご家族・大切な友人と、会社で・病気で追い込まれた時、
「俺は、精神科・心療内科・カウンセリングにかかることが恥ずかしいとは思わない」
「私は、死をもって責任をとることは美しいとは思わない」
ぜひそんな話をしてください!

長々と失礼しました。
Posted by 深田 雄志(ブルーバード) at 2009年11月03日 16:10
>深田さん

素晴らしいコメントをありがとうございます!仰る通り、ワークライフバランスは人の生命を左右するテーマだし、それはまだ日本社会に浸透はしていないけれども、必ずや進めていかなくてはならないことだと思います。

お互い、信念を曲げずに、がんばっていきましょう!
Posted by 駒崎弘樹 at 2009年11月08日 20:55
 ブログ初心者で、コメントの作法を存じませんが、失礼がありましたらご容赦ください。

 さて、先の深田さんのコメントに、『「精神科・心療内科にかかるのは恥ずかしいことだ」という悲しい精神論もあります。』とありました。

 私も、このような風潮を悲しく思います。

 実は先日、強いストレスに悩む妻を誘って心療内科に行ったところ、重度の「うつ」と診断されました。

 一時的なストレスによるものではなく、何年もの長きにわたって蓄積されたものだそうで、短期で治療できるものではないそうです。

 そのとき、私は申し訳ない気持で一杯になりました。なぜもっと早く連れてこなかったのかと。やはり、メンタルヘルスについてネガティブな考えがあったのだと思います。また、「そんなストレス、自然に治るだろう」という、甘い見通しもありました。

 とかく日本人は、精神面について妙なこだわりを持ちがちで、私もその一人であったことを恥ずかしく思います。

 米国のように、ちょっと消極的というだけですぐにカウンセリングを勧められる社会が適正とは思いませんが、もう少し、メンタルヘルスに対する偏見が緩和されると良いですね。
Posted by ダイスケ at 2009年11月08日 23:48
>ダイスケさん

奥様の病状、胸に詰まります。しかしそうした気づきが、更なるパートナーシップに繋がっていくのではないでしょうか。拙著「働き方革命」でも述べましたが、「働き方」で人は死んでしまいます。我々の世代で、人を不幸せにする働き方を転換させていくことこそ、われわれの世代の責務ではないでしょうか。

お互い働く人間として、まず自分が変わることで世の中を変えていきたいですね。

今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
Posted by 駒崎弘樹 at 2009年11月09日 21:02
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