2009年10月27日

鳩山所信表明演説の素晴らしかったところ

http://ow.ly/wwt6 より。
僕がとても素晴らしかったと思うところを抜粋した。

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鳩山総理 所信表明演説

 (地域の「絆」)

 ここ十年余り、日本の地域は急速に疲弊しつつあります。経済的な意味での疲弊や格差の拡大だけでなく、これまで日本の社会を支えてきた地域の「絆」が、今やずたずたに切り裂かれつつあるのです。しかし、昔を懐かしんでいるだけでは地域社会を再生することはできません。

 かつての「誰もが誰もを知っている」という地縁・血縁型の地域共同体は、もはや失われつつあります。そこで、次に私たちが目指すべきは、単純に昔ながらの共同体に戻るのではない、新しい共同体のあり方です。スポーツや芸術文化活動、子育て、介護などのボランティア活動、環境保護運動、地域防災、そしてインターネットでのつながりなどを活用して、「誰かが誰かを知っている」という信頼の市民ネットワークを編みなおすことです。「あのおじいさんは、一見偏屈そうだけど、ボランティアになると笑顔が素敵なんだ」とか「あのブラジル人は、無口だけど、ホントはやさしくて子どもにサッカー教えるのも上手いんだよ」とかいった、それぞれの価値を共有することでつながっていく、新しい「絆」をつくりたいと考えています。

 幸い、現在、全国各地で、子育て、介護、教育、街づくりなど、自分たちに身近な問題をまずは自分たちの手で解決してみようという動きが、市民やNPOなどを中心に広がっています。子育ての不安を抱えて孤独になりがちな親たちを応援するために、地域で親子教室を開催し、本音で話せる「居場所」を提供している方々もいらっしゃいます。また、こうした活動を通じて支えられた親たちの中には、逆に、支援する側として活動に参加し、自らの経験を活かした新たな「出番」を見いだす方々もいらっしゃいます。

 (「新しい公共」)

 働くこと、生活の糧を得ることは容易なことではありません。しかし、同時に、働くことによって人を支え、人の役に立つことは、人間にとって大きな喜びとなります。

 私が目指したいのは、人と人が支え合い、役に立ち合う「新しい公共」の概念です。「新しい公共」とは、人を支えるという役割を、「官」と言われる人たちだけが担うのではなく、教育や子育て、街づくり、防犯や防災、医療や福祉などに地域でかかわっておられる方々一人ひとりにも参加していただき、それを社会全体として応援しようという新しい価値観です。

 国民生活の現場において、実は政治の役割は、それほど大きくないのかもしれません。政治ができることは、市民の皆さんやNPOが活発な活動を始めたときに、それを邪魔するような余分な規制、役所の仕事と予算を増やすためだけの規制を取り払うことだけかもしれません。しかし、そうやって市民やNPOの活動を側面から支援していくことこそが、二十一世紀の政治の役割だと私は考えています。

 新たな国づくりは、決して誰かに与えられるものではありません。政治や行政が予算を増やしさえすれば、すべての問題が解決するというものでもありません。国民一人ひとりが「自立と共生」の理念を育み発展させてこそ、社会の「絆」を再生し、人と人との信頼関係を取り戻すことができるのです。

 私は、国、地方、そして国民が一体となり、すべての人々が互いの存在をかけがえのないものだと感じあえる日本を実現するために、また、一人ひとりが「居場所と出番」を見いだすことのできる「支え合って生きていく日本」を実現するために、その先頭に立って、全力で取り組んでまいります。

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阿部、福田、麻生内閣の所信表明演説に、一回たりとも「NPO」の文字はない。「市民」すらない。

しかし、鳩山演説では、「官だけが公共を担うのではない」「政治ができることは、市民やNPOを支えることだけだ。」「予算を増やすだけではなく、国民一人一人が『自立と共生』を育むことだ。」とまさに私達が日々の実践の中で叫んでいるようなことを、国政の中心から表明されたのだった。

10年ひと昔どころか、僕がNPOをやり始めた6年前にすらこうしたことが起きるとは、想像だにできなかったことである。

政治がここまでNPOに歩み寄り、NPOを支える姿勢を出してきたら、もはや我々は政治を言い訳にはできない。

我々に何があれば、十分に力を発揮できるのか。この4年間にそのビジョンを政治に提示しなければ、いつそれを伝えるのだろうか。

そしてそれを伝えつつも、目の前の苦境に立たされている人々、自然環境、地域社会を間違いなく助けている、という不動の実績と結果をこれまで以上に出さねばならない。

「新しい公共」があり得るかどうか、その証明を行う役割のバトンは、既に総理から我々に手渡されている。そうではないだろうか。


※参考
阿部総理所信表明演説
http://www.kantei.go.jp/jp/abespeech/2007/09/10syosin.html
福田総理所信表明演説
http://www.kantei.go.jp/jp/hukudaspeech/2008/01/18housin.html
麻生総理所信表明演説
http://www.kantei.go.jp/jp/asospeech/2008/09/29housin.html
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当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
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posted by 駒崎弘樹 at 21:33 | Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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