2009年10月19日

事業仕分けデート

妻に誘われて和光市の事業仕分けの視察。

事業仕分けは行政刷新会議が国レベルでもやろうとしている、行政の無駄削減の切り札、として注目されている手法である。
構想日本というNPOが開発。構想日本の代表は加藤秀樹先生ですが、僕がSFCの学生の頃、教鞭をとられていました。)

実際どうやってるの、というと、120平米程の会議室の真ん中に丸く席を作って、中央に行政担当者、周りに「仕分け人」5人、コーディネーターが1人座る。

「仕分け人」は他の自治体から来ている人が2人、元我孫子市長の福嶋さん、一般市民からの公募の人が2人。

その周りを一般傍聴席が囲んでいて、日曜にも関わらず20人くらいの市民傍聴があった。

仕分け室は3室で、それぞれの部屋で仕分けが行われる。

仕分けの流れは、
1.行政側プレゼン(5分ほど)
2.仕分け人による質問
3.仕分け投票

となっている。

仕分け投票は、その事業が@不要A要るけど国や県がやるものだから、市は辞めようB市がやっても良いけど、民間に委託しようC市が直接やるけど要改善

にそれぞれ仕分け人が手を挙げていって、決めていく。


どんな風だったのか、をダイジェスト(個人的に編集しています。)でご紹介しよう。
例えば「男女共同参画啓発事業」。


行政:「この事業は、男女が平等で、共に社会に参画していくのが自然なのだ、ということを市民側に啓発していく事業で、パンフレットを作成したり、公民館でパネル展をやったりしています。」

仕分け人:「パネル展は何人くらい来たのですか?」

行政:「えっ・・・。(ガサゴソと資料を探す。なかなか出てこない)」

仕分け人:「だいたいで良いですよ。」

行政:「100人くらいと言ったところでしょうか。」

仕分け人:「8万人の人口で、100人ですか?」

行政:「そうですね。ただ、セミナーやシンポジウムは多くの方々が来て下さっています。昨年度ものべ270人近くの方が来て下さいましたし、本年度はワークライフバランスでは大変著名な方を呼んで講演を致します。」

仕分け人:「この事業の目的は、セミナーをやって人を呼ぶことですか?」

行政:「いや・・・。」

仕分け人:「なぜ70%の市民が男女共同参画という概念を知らないのでしょうか?」

行政:「ちょっとそこは・・・。」

仕分け人「70%の市民が男女共同参画という概念を知らない、ということに関して、それがなぜか、という分析はしなかったのですか?啓発事業ですよね?」

行政:「はい、していません。」

福嶋元我孫子市長:「そもそも、男女共同参画課の皆さん3人が、全員男性ですよね?それは如何なものでしょうか。市の職員の管理職の女性比率はどのくらいでしょうか?また、審議会等の女性参加率はどうですか?」

行政:「えー、市議会議員では40%が女性です。また・・・(質問には関係のない答え)」

福嶋:「(笑いながら)市民が選んだら、40%は女性になるんですよね。和光市の中では管理職はどの程度女性なんですか?委員会や審議会ではどの程度でしょうか。数字で答えて下さい。」

行政:「大変低いのではないかと・・・。」

コーディネーター:「数字で答えて下さい。」

行政:「ちょっと分かりません。ただ、男女共同参画課は、管理職は男性ですが、現場は女性が活躍してくれています。」

福嶋:「(微笑みながら諭すように)男性が管理職で、女性が手を動かす人、という区分け自体が、そもそも男女共同参画じゃないでしょ?(会場笑い)本当にしっかりやって下さい。まずは自己改革ですよ。役所自体が変わらないと。」

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ということで、仕分け結果としては「市がやるけれど要改善」として決まった。

和光市の場合はここで事業仕分けが行われたといっても、すぐに廃止したり委託したり、とはならないようだが、こうした議論が公開の基にされる、というのは非常に貴重な機会だ。感動した。

僕が審議会や委員会で出て唖然としてしまうような事業が氾濫している状態を、白日の下にさらすことができ、市民が知ることができる。これは非常に大きなことだ。誰でも知っているが日本は先進国一の借金大国で、そのつけは赤字国債という形で全て子どもの世代に先送りしている。再び高度成長することはありえず、今後50年は縮みゆく経済と共に付き合っていくことが運命づけられた国家だ。

にも関わらず、自治体や国の予算には、とんでもない無駄が溢れている。
一刻も早く、事業仕分けを全自治体で、全省庁でやるべきだ、と僕は考えている。

しかし、そうは問屋が卸さない、というのが本当のところ。

今回和光市が事業仕分けをしたのも、若い改革は市長が目玉政策に置いたからだ。
(市長は若々しくて、僕の隣に立っていたのだが、職員の人だとずっと思っていた。)

市長など首長の強いリーダーシップがないと、事業仕分けはできない。なぜなら、職員にとってのメリットはゼロだからだ。

・準備の手間がかかる=仕事が増える
・議会でもないのに第三者から質問爆撃され、気分が悪い
 (地方議会は台本があり、実際は茶番。行政仕分けはガチ。)
・自分達がやってきた事業が否定される

事業仕分けをやられる方の自治体職員、官僚達は戦々恐々で、水面下の抵抗は半端ない、というのが現実だろう。

結局のところ、問われるのは僕たちの民度だ。行政仕分けもやらない首長を選んでいるのは、間違いなく僕たちなのだ。

行政刷新会議に期待しているだけじゃなくて、国民はわが市、わが県を突き動かすべきなのだろう。次の首長選挙は、甘い福祉をこんもり盛ってくれる人じゃなくて、事業仕分けの5文字をきちんとマニフェストに入れ込む人に票を入れようぜ、ということだ。

追記:
個人的感想だけども、「俺だったらもっと削るな」と感じた。
特に子育て/両立支援の部分はそれを強く感じた。
ファミリーサポートセンター事業など、市が直営でやる必要は全くない事業だ。
それこそNPOに委託すれば良いだけのこと。

男女共同参画啓発事業なんて、市が直接やる必要は全くない。
市はDV(ドメスティックバイオレンス)の予防・相談事業に全力を傾けて、啓発は地元のNPOや広報コンサルに投げた方が良い。
チラシなんて誰も読んでないし、セミナーもやること自体が目的化してしまう。

子育て支援、まちづくり、産業振興、等テーマごとで分けて、それぞれの分野のプロを、仕分け人の中に1人は入れた方が、実効性は増すかも知れない。

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当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
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posted by 駒崎弘樹 at 08:48 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメント失礼します。
すっっごく有意義で大切なコトだと思います。

でも先日もテレビで構想日本の活躍を見ましたが、こういうのは本来議会の役目ですけどねぇ。市議の怠慢以外の何者でもないと思います。大きな組織はチェック機能がものをいう。議会がチェックを放棄したらこういう結果になりますわね。

というわけで議会そのものに仕分け人を入れてしまえばいいのにと思います。そして議員は半分の11人…いや和光市は狭いから7〜8人でいい。どうせ何もしないのであれば決定権だけ残してあげればいい。

この日「今年の事業を承認した市議」が新市長を含めて何人来ていてどんな心持ちだったのか気になります。
Posted by nyoke at 2009年10月20日 18:29
>nyokeさん

仰る通り、これは本来は議会の仕事なんですね。ただ、地方議会は正直、機能しているとは言い難いです。
慢性的に低い投票率で、結局組織に利益誘導した人間が通りやすい体質になっているためです。また、議会をウォッチする市民勢力が育っていないことも原因です。
地方議会改革は非常に重要なテーマですが、結局は市民の危機感が重要変数になるのだろうと思います。
非常に的を射たコメント、ありがとうございました。
Posted by 駒崎弘樹 at 2009年10月21日 22:19
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