私の故郷東京都江東区は、ゴリゴリの下町で、江戸時代には熊さんはっつあんが長屋で与太話していたような、正真正銘の下町です。
日本の古き良き習慣、建築物、伝統が保存されていた愛すべきエリアですが、先の不幸な戦争により、市街地の多くは灰と化しました。
しかし奇跡的に燃えずに残った建物がありました。
その名も「東京市深川食堂」。厳しい経済状況に置かれた下町住民に対して、大正デモクラシー後の東京市は公営レストランを建築し救済しようとしました。全市に16もの公営レストランが置かれ、安価な定食やコーヒーが出されていました。
モダニズムの影響を受けたどえらいハイカラな建物が、江戸の空気が残る下町に映えていました。
その後、焼け野原に奇跡的にぽつんと生き残った「深川食堂」。復興と共に公営レストランの必要性が失われていき、福祉作業所、職業安定所などに変遷していきました。
日本各地にある歴史的建造物と同様に「古いから壊そうぜ」となるところを救われ、リノベーションされて下町の「ギャラリー兼観光案内所」として生まれ変わることになりました。
1階は下町の古い文化が閲覧できるミュージアムスペース+観光案内所。2回は個展やアートイベントができるギャラリースペースになっています。土日祝は地域の高齢者の方々が「下町ガイド」となって、めくるめく深川ツアーに連れていってくれるようになってもいます。
オープン当日は姉に駆り出され、いちボランティアとして動いて参りました。
多くの地元住民の皆さんが集まって下さり、嬉しいような、誇らしいような気分でした。
「3月10日(東京大空襲のこと)に私は家の外に出たのね。ちょっと遠くに爆弾が落ちたな、と思ったら、すぐに自分の足もとで火が燃え上ってたのよ。びっくりしたわぁ。」と笑顔で話しかけて下さったおばあさんがいらっしゃいました。
その時思いました。歴史を記憶するのは博物館だけではない。対話によって、私達自身が記憶していくのだ、と。モダン館が下町に残されていった文化を、歴史を、対話できる場所であれたら、なんて素敵なことなのだろうか、と。
モダン館はオープンしましたが、モダン館が単なる建物ではなく歴史と文化を語り継ぐ存在であるためには、江東区民と他地域からの皆さんの、来訪と交流、そしてそのプロセスから生み出される「言葉にならないもの」の発信が是非とも必要です。
いつか足を運んで頂ければ幸いです。ついでに僕の姉もバタバタと駆け回っているでしょうから、お声掛けくださいませ。
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当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
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