「いやー、こまちゃん、そろそろ来るよ」
とあるNPOの経営者の方が、料理を口に放り込みながら言う。
「そろそろ、って何がですか?」
僕よりも何年も経営者としてのキャリアの長い彼に、僕は尋ねた。
「そろそろ書かれるよ。色々と。」
そろそろスキャンダル・ゴシップで「祭られる」という。
「いや、僕はたいして有名でもありませんし、そんな記事になっても
誰も興味持たないですよ。まさか。」
彼は口元に微笑を浮かべたまま、そう言うと思った、というように続けた。
「駒ちゃんはスキャンダル処女だから、やっぱ分かってないね。俺も全然有名だったわけじゃないけども、以前書かれそうになったよ。しかも女絡みの全く根も葉もないネタで。いきなりゴシップ週刊誌の記者から電話が3日間に100回くらい掛かってきて、しつこく追い回されたよ。」
「ひどいっすね。」
「向こうは事実じゃなかろうが、記事としてのっけちゃえば勝ちだからね。違って後で小さい記事で謝っても誰も気に留めないから。活躍すればするほど、引きずりおろされるのを見たくなるから、トップ屋さんって呼ばれる彼らはそのニーズに便乗するわけだよ。綺麗なイメージの奴ほど裏が見えるとおいしい。」
隣の席でご飯を食べていた別の先輩NGO経営者が話に加わる。
「お前はまだ未遂で助かったみたいやけど、俺なんて書かれたで。吊広告にどばーって。あん時はショックやったな。『彼には前から悪い噂があった、と友人の●●は語る』って誰やお前!って感じやわ。」
すっかりビビらされてご飯の味がしなくなってきた。
「でも、日本のために一生懸命戦って、それでその仕打ちかよ、と思うと、何か哀しくなりますね。」
と言うと、二人とも「日本ってそういう国だよ」と
お前今さら知ったのか、という風に声をそろえた。
帰りの電車は相変わらず満員で携帯も見れないので、吊広告を見上げる。そこには今日も誰かの名前が載っていて、僕達の気持を代弁しているつもりの誰かが、その名前をめった打ちに叩いていた。
満員の電車に居合わせた人々の顔を見た。10秒後には忘れてしまうだろう、「普通」の彼ら。ふつうの自分。
この普通の僕たちの「ニーズ」が、僕達の頭上にある記号的惨殺に繋がっていると思うと、化け物は彼らなのか、それとも僕たちなのか、今はどこの駅にいるのか、そういったことの何もかも、分からなくなってきた。
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