2009年07月30日

港区の病児保育室同士の飲み会


弊社は港区からの事業委託で「まちかど保健室みなと」という病後児保育室を運営している。


これは従来の保育園が運営する保育所併設型とは違い、保育園の隣にあるにも関わらず、保育所が運営するのではなく、切りだしてNPOが受託する、という全国初の施設である。

そんな「まちかど保健室みなと(通称「まちほけ」)」は港区の他の病児保育施設とも仲良しで、月1回「港区合同ケース会議」というものを開き、現場のノウハウを共有知化させる取り組みを続けている。

これは非常に珍しい取り組みだ。ふつうは同じ区、市にあっても横の連携はほとんどしないのが病児保育業界の通例。しかし港区では医療機関併設型に来た子を、「まちほけ」に紹介したり、定員いっぱいの場合は他施設に紹介したり、と横の連携が密である。

今日は港区の施設に勤める保育士さんや看護師さん、運営する医師の方と田町で飲み会。それぞれ理想の病児保育をしようと燃えている。

こうした連携があるのは素晴らしいなぁと思う。ただ、実際には病児保育の世界ではフローレンスを筆頭とした新しい流れ「訪問型(非施設型)病児保育」と旧来の「施設型病児保育」は全くの没交渉だ。
旧来の病児保育施設が集まる全国病児保育協議会の偉い方々からしたら、新しい動きは忌々しいということで、さんざん陰口を叩かれている。みんな港区の病児保育施設の人たちみたいだったら良いのにな。

しかし訪問型病児保育と施設型病児保育が連携することで、非常に素晴らしい仕組みを国民には提供できる。キャパシティに余裕がある施設に搬送することで施設の稼働率を上げることだってできるし、施設がオーバーフローした時に非施設の方に増員を頼むことでスタッフの負担を軽減することもできよう。

施設に訪問機能を付加したステーション型に関しては、東京都が採用してくれて政策実現した。補助の成果報酬化も厚労省に採り入れられ、紆余曲折ありながら、政策として走っている。

政策いじれば、ある程度事態は改善するかなと思ってロビイングを色々とやってきた。しかし先日鈴木寛議員と話した時にこう言われた。

「政策だけいじっても十分じゃないんだ。やっぱりやる人たちとコンセンサスを作り上げ、動いて行ってもらえないと意味がない。だから業界をちょっとずつ巻き込んで大きなうねりを作っていかないといけない。」

それを聞いて、自分はつくづく政治家にはなれないな、と思う。
僕には保守的な病児保育業界の人達とじっくり時間をかけて政策を提案していこうなんて、まったく思えない。そんな時間があったら自分達でモデルを作って、広げ、ひとりでも多くの人を助けていった方が良い。

しかし、鈴木先生のおっしゃることも一面の真実だ。というより、政治とはそうあるべきものだろう。プレイヤーに共通認識を持たせ、面として発言力を持たせ、制度改定していく。プレイヤーたちは制度が変わる前から理解しているので、制度の運用にも協力する。これが制度だけ上から振ってきたら、制度への反感と怨念だけが積もり、結局制度は長続きしない。

病児保育業界も本当はそのようにして、やり方の差異を越えて意志統一し、面をつくり、制度提案していく、という方向を取るべきなのだ。しかしそれをやろうという意志を持つ人間は誰もいない。
僕もやろうとは正直思えない。分からずやのご老人の皆様と議論している時間を思うと、憂鬱しか残らない。

そう考えると、病児保育に関してはとにかく単体で実績を出し、制度提案していくしか、しばらく道はないんだろう。
プレイヤーが集合し業界世論を形成し、面として制度改定に乗り出すとしたら、今ならソーシャルビジネス業界だろうか。
訴えるとしたら、自治体と政府には「天下り外郭団体と社会福祉協議会の優遇撤廃=行政のアウトソース市場の形成」。ビジネス業界では「携帯電話からの寄付スキームの創設」であろうか。

つらつら結論のない話を書いてしまった。田町で飲んだビールが回ってる。珍しき病児保育業界の生産的な横の繋がりに乾杯。
まだ見ぬ、しかし来るべきソーシャルビジネス業界の曙に乾杯。

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当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
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これからもどうぞ宜しくお願い致します。
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posted by 駒崎弘樹 at 23:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 業務日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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