残業レスな職場を創るための基本の第一歩は「部下のキャパシティを把握する」ということです。
1日でいったら8時間という手持ち時間予算を持っている部下の方がいるとします。上司である僕は「1日分」の仕事をさせられる、と思いがちですが、実際は8時間から彼が出る会議の時間や、絶対にしなくてはいけないルーチンの時間などを引かなくてはいけません。残りにあなたのやってもらいたいプロジェクト(仕事の塊)を振れるのですが、1日の作業で終わるようなタスクレベルから、数日に渡って取り組まねばならないタスクレベルまで、重さはそれぞれ。
管理は重さが重いほど難しくなっていきます。日をまたぐようなタスクを課す場合、その部下が月内でどのような繁忙具合なのかを見定めないと、残業レスは達成しづらいです。
例えば総務経理関係だと、月末が〆日の関係で忙しかったりしますし、人事労務だと給与支払いのために月中が忙しいかも知れません。部下の職種、手持ちの仕事の性質によって、「仕事の波」は確実に発生します。
部下の仕事の波が高まっている時、すなわちとても忙しい時に、普段と同様に仕事を振ってしまうと、それだけで部下のキャパシティは容易に越してしまうことになります。
熟練のマネージャーはこうしたことは感覚でできますが、経験の浅いマネージャーは中々やれません。マネージャー経験があっても、部署や職種が変わると勘が効かないことが多いです。
そこで、部下の月内のキャパシティを把握するために、「キャパシティマップ」を作り、見える化することで、マネージャー経験の有無に左右されず、キャパシティを把握できるようになります。

一番上に手持ち時間(この場合は8時間×5日=40時間)を書き、タスクごとの所要時間を明記し、かかる時間をおおまかで構いませんので記入します。(全く読めない、という場合はスリムタイマー等で計測することをお勧めします。)
上のブロックには定例の会議や決まったタスク(定型業務)。下のブロックには都度入ってくるようなタスク(非定型業務)を入れ込みます。
手持ち時間から、タスク所要時間を引くと、残り時間が計算されます。
すると週ごとに忙しさの格差が見えてきます。これで、部下のキャパオーバーを引き起こすリスクを下げることができるでしょう。
また、こうしたキャパシティマップを作成すると、既存のキャパオーバーも発見することができます。
すると、「部下が時間をかけている業務」と「上司である自分が時間をかけてほしい業務」の差も見えてきます。例えば報告資料なんて読めれば良いレベルなのに、部下はせっせと何時間もかけてしまっていたり。本当は後回しでも良いことを、月の始めに一生懸命やってくれていたり。
適切に部下のキャパシティを把握すれば、残業させないで成果を出させることが可能になります。利益は、売上を多くするか、費用を削減するかによって増えます。売上が伸びづらい不況期は、費用である残業代を削減することで利益を増やせます。
うちは裁量労働制で残業代つけなくて良いから、働かせるだけ働かせた方が合理的なんだ、っていうシステム会社さん。SEに勉強の時間を与えないと、ようやく使えるようになってきた3〜5年で逃げていっちゃいますよ。
うちは営業主体で残業は手当の形で一律支給だから、残業させても良いんだっていう会社さん。売れる営業マンのノウハウを共有する時間的余裕持たないと、営業の属人性が高まって、営業マンが辞めたら売上がガクンと落ちる、っていうことになっちゃいますよね。
そんなわけで、残業レスな職場づくりの第一歩として、部下のキャパシティ把握の手法の一つ、キャパシティマップを紹介してみました。レッツトライ!
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リソースが見える化されてない⇒既にキャパオーバーだが仕事が振ってくる⇒でも「できません」と言える材料がない⇒渋々長時間労働をする⇒モチベーション下がる⇒生産性下がる
長時間労働を強いられても現場が何とか頑張ってくれているから会社が回っている状況です。
しかもマネジメント層はそれを全く自覚してません。
最近仕事をしていると、日本のマネジメント層のレベルの低さに腹が立つ事が多いです。
上から押さえつけるような管理をしておいて「自主性がない」とか、
技術を伝える仕組みを作ってないくせに「技術力が上がらない」とか、
コミュニケーションをきちんと取っていないくせに「最近の若者はわからん」とか平然と言い放ちます。
マネジメント層のレベルが低いからコンサルという商売ができるのかもしれないですが、
社員が活き活きしていない会社を見るのはやっぱり悲しい気分になります。
日本のマネジメント層のレベルが低いのかどうか、は僕は海外で働いたことがないので厳密には分からないのですが、マネジメントの発達を阻害していた要因としては、「流動性の低さ」があったのではないか、という仮説を持っています。
すなわち、日本型雇用慣行(新卒一括入社・終身雇用)だと、離転職の度合いを低下させる、つまり流動性を下げるバイアスが働きます。
すると、まずいマネジメントをしても、マネジメントされる方が辞めていかない。ダメなマネージャーに対して負のインセンティブが働かない、という状況でした。よってマネジメント技術の発達が阻害されてきたのではないかな、と。
しかし時代は変わって「ダメな上司につきあって時間を無駄にするくらいなら、とっと辞めよう」という風に(業種限定ですが)なってきつつあるので、今後はマネジメント技術は嫌でも磨かれていかざるを得ないのかな、と若干楽観的に思います。