2009年07月06日

普通の女の子による、ぶっ壊れた世界への挑戦〜「いくつもの壁にぶつかりながら」を読む〜




戦友、かものはしプロジェクト村田早耶香さんの本が、出た。

(日本一の書評家)小飼弾氏が「今時の若者はすごい」と激賞してくださり、ただの友人だがこちらまで嬉しくなった。

多くの方々がカンボジアの買春問題や経済成長が買春問題にプラスに作用することなどを論じられているので、僕はちょっと別の観点でこの本を紹介したい。

彼女との出会いはETIC.のソーシャルビジネスコンペStyleにおいて。僕が「駒崎くん、君が賢いのは分かったけど、(君のビジネスマンぶったスタイルでは)君を応援する気にはなれないな」と言われて予選落ちしている中、彼女達は優勝。非常に悔しく思った記憶がある。

僕は学生の頃ITベンチャーでWEB構築をしていたので、そのビジネスがどれだけ過当競争か知っていた。その中で学生だけでWEB構築ビジネスをやって、そのお金をカンボジアの買春問題解決のために投資していくなんていうモデルが現実的だとは思えなかった。

そこで僕は「君たちの競争優位性は何なの?」とか「単純なWEB構築はサチって(サチュレイトして=飽和して)くるから、対策必要なんでは?」とか分かったような口を叩いていた。

だが正しいのは彼女たちであった。彼女たちは苦労しながらもITベンチャーをNPO法人と並行して経営し、今ではITの仕事で6000万近くの売上を出している。競争優位だ、市場の飽和だなんだ、なんて「当り前のことを愚直に続ける」ことの前では、くそみたいなもんだったのだ。
頭でっかちITベンチャー野郎の自分は、その時点で間違っていた。

更に彼女たちは僕にないものを持っていた。ソーシャルビジネスにおいて決定的に重要な力。「人々の共感を得る力」だ。
僕は自分の知識や経験を鼻にかけていた。アドバイスをしてくれる大人がいても
「いや、それは検討した結果駄目だったから、このプランでやっているんです。」
等と切り捨てた。
アドバイスをされることが「自分が下に見られている」ように感じて、プライドの高い僕には耐えられなかった。

しかし早耶香ちゃん達は「自分達には力がない」ということを表に出すのを怖がらなかった。多くの人々のアドバイスを、その人の目をまっすぐに見て、うんうんと聴いていた。アドバイスをする人たちの一部は、支援者になった。そうして自分たちに無い力のある人たちが周りに集まって来ていた。

僕は驚いた。ビジネスの世界では、自分がどれだけすごい技術を持っているか、を鮮やかにプレゼンテーションしなければ、お金にならなかった。しかしソーシャルビジネスの世界では、自分はどうしても誰かを救いたいんだ、という情熱を謙虚に伝えることで、お金を払わなくても力を貸してくれる人が現れるのか、と。

金で人を動かすよりも、もっともっと難しい、金じゃないもので人を動かす力。それを僕は、彼女たちから、彼女たちのたたずまいから学ばせてもらった。

無愛想で態度のでかい僕にも、普通に柔らかく話しかけてくれた。生活のこと、恋愛のこと、夢のこと。普通の女の子であった。

しかしその「普通さ」ゆえに、彼女は皆の希望になる。大金持ちでもずば抜けて優秀でもない、「普通の人」であっても、「普通の人」こそが世界を変えうるのだ、と。

学生たちによく問われる。「駒崎さんみたく、学生時代に企業やってたりする特別な人じゃないと、社会起業はできませんか?」と。
そういうことを聞かれると、思わず苦笑してしまう。
かものはしプロジェクトのことが頭をよぎるからだ。

彼女たちは今でも多くの応援団に囲まれ、事業を推し進めている。総収入が約1億円で、そのうち寄付は(寄付文化がないと言われる日本で)4000万円近く集めているということだ。フローレンスと同程度の事業規模ながら、寄付の額は圧倒的にかものはしが勝っている。まさにたくさんの共感を力にする彼らの本領が、そこに発揮されているではないか。
僕は今でも彼女たちに学んでいる。

そんな「かものはしプロジェクト」と村田早耶香さんの、普通の人が起こした奇跡の軌跡を知りたい人に、
やる前から足りないものを数えている頭でっかちくんに、この本の一読を強く勧めたい。

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当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
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posted by 駒崎弘樹 at 19:21 | Comment(1) | TrackBack(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
駒崎君

書籍をご紹介下さりありがとうございました!

駒ちゃんが書いてくれた文章を見て、胸が熱くなりました。

素敵な言葉をありがとう!!
Posted by 村田 at 2009年07月07日 01:11
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