2009年05月18日

学生よ、プレイヤーたれ


先だってのエントリー、学生のソーシャルビジネス支援に関する意見について更にフィードバックを頂いたので、(ありがとうございます。)お応えしたいと思います。

今さんが深い問題意識を持って活動に取り組まれているのは、よく理解できました。またライターとして培われた広報技術を核に支援を行おうということも分かりました。ぜひ強みを基盤に支援活動に邁進して頂きたい、と思います。

しかし学生は支援者ではなく、プレイヤーであるべきだと思うのですね、僕は。


例を出しましょう。今日うちのインターンのおっくんの一か月面談を行いました。おっくんは地方の大学では相当とんがって色んな活動をやっていた男です。採用面接でも、かなり優秀な成績でした。しかしおっくんは面談で言いました。

「ここにきて、自分が何もできないことを知りました。自信を打ち砕かれました」と。

そうです。地方大学で一番イケてる、なんてのはソーシャルベンチャーの一線に来たら何の意味も持ってないのです。学生なんて電話一本まともに受けれず、資料一つきちんと作れません。全然使えないのです。

しかし、それで良いのです。

自分が如何に使えないやつなのか。それをおっくんのように肌で、毛穴から体感する。それが重要なのです。間違っても「俺がNPOを支援してあげる」なんてことは口が裂けても言えない経験。そういう体験を食らうことで、新たな成長の地平が開けるのです。これが学生の素晴らしい所です。

これまでの自分がぶち壊され、失うものがなくなり、がむしゃらに手を汚して汗をかくことで、足腰が強くなっていき、今までできなかったことが当り前にできていき、自分の身長が伸びていることに気づくのです。
その作業は転びながら汗だくになりながら、無様な姿をさらしながら、の工程。そのイタい姿が、かっこいい。イタかっこいいのです。

おっくんは貴重な学びの過程にいます。この学びの過程を知る学生こそ、幸いなれ。それは自らの無様さを引き受けなければ、到底得られないのです。

自分を安全圏に置き、傷つかない位置から「支援してあげる」なんていうのは、その学生をサポーターにできても、実践者にはできないでしょう。
僕が学生に望むのは、実践者であり、共闘者であり、共犯者であり、同志です。

僕と今さんはおそらく学生に望むものが違うのだと思います。
そしてそれはそれで良いのだと思います。
多様な選択肢と価値観があって良いのだと思います。

僕は何より「担い手」と「プレイヤー」が増えなければこの業界は本質的かつ実体的な価値を生み出せないと思っており、学生たちが実践者となってアイデンティティクライシスを乗り越えながら、担い手の高みへと飛翔してくれることを願っているのです。

学生たちよ、共に闘おうぜ。
多くの社会問題がこうしている間にも社会を蝕んでいるんだ。
君たちの力を、まちがいなく僕たちの愛しい社会は、必要としているんだ。

______________________

当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
PCサイト http://www.florence.or.jp/
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いつもご支援頂き、誠にありがとうございます。
これからもどうぞ宜しくお願い致します。
_______________________

posted by 駒崎弘樹 at 22:27 | Comment(5) | TrackBack(1) | 業務日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私は子育てをしながらフルタイムで働く女性です。「学生が支援」という社会人からみると、ちょっと頭でっかちな話が見えたので、感想を書かせてください。おそらく自分を含め、フローレンスのようなサービスを利用している人間から見れば、大事なのは、「社会起業家」という名前を広めていくことではなく、駒崎さんのおっしゃるように「担い手」と「プレイヤー」をいかに増やしてくださるか、の方が切実な問題であると思います。肩身の狭い思いをしながら働く女性、また「病気になったらママが困る」とがんばろうとする子どもたちを応援してくださるのがこの事業の目的であって、「社会起業家」という名前が認知されるかどうかという問題は、はっきり言って困っている人間からみればどっちでもいい話にも思えます。仮に「社会起業家」という定義が一般に認知されたとしても、担い手とプレーヤーがいなければ、社会はよくなっていかない。本当に広めたいのであれば、(支援したいのであれば、)まずその事業を経験してみる、世間を知る、、、そんな学生さんが増えることを社会人の一人としても願っております。
Posted by mchi at 2009年05月19日 00:59
>mchiさん

子育て中で御多忙であろうと思いますが、議論にご参加下さってありがとうございます。大変勉強になりました。
今後とも貴重なご意見のフィードバックを下さいましたら幸甚です!



Posted by 駒崎弘樹 at 2009年05月19日 17:27
学生あがりで、社会起業家らしきことをやっている者です。
ここ数日議論を傍聴しておりました。

会社近くの西友にジンジャーエールと氷と牛乳を買いに出かけた際、
歩きながらこの議論を思い出していたところ
発言したいな、と思ったので書き込みます。

我々の仕事の成果として最も重要なのは、結局「どんな人が
どれだけどんな風に救われたのか?」という点だと思います。

だから、究極的には「社会起業家という存在を国民の90%が知っている」とか
「イベントに1000人集めた」というのには意味がない。

(PRのための手段として、重要だとは思いますが)

ただ、「誰をどんな風にどれだけ助ける」というのを
決めて実行するのはすごく難しいこと。

我々は事業に取り組み始めて約2年たちます。
しかし、上記の空欄をうめるのは、いまだに私たちの課題です。
そして、上記の空欄をうめるにはまさに手をよごす仕事が必要。


我々は起業してから半年くらい、いくつかの中間支援団体と接触しました。
彼らとの対話は常に心地よかった。
「音楽療法、音楽療法・・・」と念仏のように唱えていたら、
なんだか人々がむらがってきた。

我々の問題意識や解決策に対して、彼らはたいてい
ポジティブな評価をしてくださった。

「それいいねぇ!」「これから介護は福祉の時代が来るから」

しかし、周囲のポジティブな評価と裏腹に、事業は遅々として進まない。
「現場で手をよごし、話を聞く」という作業が足らなかった。
現場をしらないあたまでっかち。しかも社会経験不足。

親には毎日もうからないなら止めろ、といわれた。
(今もやめろとやさしく諭される)

結果、うちの代表は川北さんに泣かされ、4人もいたインターン生は
ひとりのこらずいなくなった。

我々は汗をかき足らないと思った。川内さんが地道にインタビューを
されているのを見て、自分たちもきたない仕事をやり始めた。
家族、知人、突撃、あらゆる手段をつかって介護福祉関係者にアポをとり、話を聞いた。

その時点で尚、具体的な知識は皆無。
居宅介護?ケアマネジャー?特別養護ろうじんホーム?
障害者自立支援法?アクティビティ加算?

それでも10人、20人・・・、50人と話を聞き続け、
ようやく空欄をうめるのに必要なキーワードが頭にうかぶようになった。

ここまでの過程は、まさに熱病のよう。その熱病は今も続いている。
なんでこれだけ体がうごくのか、自分でもよくわからない。

話は変わりますが、こんな熱病のようにうごく人は、たぶんあまり多くない。
血筋とか性癖とかでしょう。特殊だし変態だと思います。

こういう人じゃない人でも、社会とつながりたい、役に立ちたいという
気持ちは持っていて、気軽な方法で関われる手段があってもいい。
定額給付金基金とかもそうだと思います。本当は一緒に手をよごしてほしいけど。

いろんな支援があっていい、というのはこの辺のことかと思います。

みなさんの議論につけ加えるならば、熱病にかかって手をよごすのは、
何も学生だけでなくともよい。大人だって、小学生だって、
思い立ったら突っ走ってもよいのでは、と思います。

駒崎さん、このような場をくださりありがとうございました。
Posted by kan at 2009年05月19日 21:50
>kan さん

胸を打たれました。
地道に現場で耳を傾けて「聴く」。
そういったところから始めるのは、まったく恥ずかしいことではありません。
最初からうまくいくやつなんて、いないのですから。

頑張りましょう。
今この時は、まったく無駄なことではありません。
Posted by 駒崎弘樹 at 2009年05月22日 22:25
 イメージだけで語られてしまうと困るので、僕の周囲の学生たちの単位を落とすリスクを背負いながらも寝ずにがんばっているがんばりに敬意を表して説明を足しておきます。

 そのへんのイベントと同じようなら、駒崎さんのおっしゃるとおりでしょう。

 しかし、この「社会起業支援サミット」は、運営上のすべてが実践そのものなんですよ。
 従来のイベントとはまったく異なり、社会人と同様に動いてもらわないと進まないのです。

 僕らはしおらくしく「支援」と言っていますが、実際には協働そのものなんですよ。

 団体が単体ではなかなか進まない広報の部分を主に担うことになり、結果的に顧客を増やすと同時に、顧客たる社会的弱者にも自分の求めるサービスにマッチングさせるだけの広報を行える仕組みをもったイベントなのです。

 東京では情報が集積しやすいメリットがあるでしょうが、地方ではそうではありません。
 ホームページすら持っていない団体だって少なからずあるぐらいです。
 せっかく良いサービスがあっても、それが十分に伝わっていないのですよ。

 しかも、顧客になる社会的弱者には情報弱者が少なくありません。
 みんなが知ることは、彼らにもサービスの存在を知らしめることになるんです。

 僕らのスタッフは、まさにそういう人たちの立ち位置を大事にしているのですよ。

 彼らの抱える日常的な切実さが重ければ重いほど、「みんなが知っている」ことでなければ、知る由もありません。

 病児保育サービスを求める人よりも、もっと深刻な課題に直面している人たちがたくさんいて、自己評価も低ければ、「どうせ私には難しい話はわからない」で情報を探さなくなる人も珍しくないのです。

 最悪、自殺まで追い込まれている人たちと付き合ってきた僕としては、社会起業家の提供する優れて有益なサービスと、ニーズの高い受益者の間に大きな溝があると痛感しています。

 そのためにこそ広報は不可欠であり、そのために自ら学び、汗をかき、今日も寝ずに頑張っている若者スタッフに対して簡単に「傷つかない位置」といっしょくたにされてしまっては、あまりにも本気でやっている人間に失礼です。

 本気でやれば、金って時間だって出ていきますよね。
 僕なんか自営業ですから、本気でやればやるほど貧乏になりますよ。
 学生たちだって切り詰めた生活です。

 それでも、なんでやるのかといえば、社会的弱者の抱える現実の重さが、僕らよりも重いからです。
 だからこそ溝を埋めたい。

 これが、少なくとも僕自身が自殺未遂者たちの個々が抱える具体的な社会的課題の解決の取り組む社会起業家を支援するモチベーションになっているのです。

 そして、そうしたことにピンと来るのは都市部ではなく、地方です。
 だからこそ、続々とサミットの存在を知った地方から「うちの町でもやりたい!」という声がかかっているのです。

 社会起業をみんなが知る。
 その状況を寝ずにがんばって作り出すのは、本当に困っている人の目や耳に社会起業の提供するサービスをふれさせたいためなのです。

 駒崎さんの想像を絶する低所得・低学歴・低スキルの情報弱者がいるということまで、少しは考えてみませんか?

Posted by 今一生 at 2009年05月28日 02:43
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