2009年04月04日

ベインアンドカンパニーさんとの協働


世界的コンサルティングファーム、ベインアンドカンパニーさんの第二次無料コンサルティングプロジェクトの最終報告を受けた。


第一次プロジェクトの際は、保険共済型モデルの分かりづらさや不透明な点を改善する手助けを頂いた。具体的には商品改定を行い、新しいパッケージを作ることになった。これによって利用会員さんからは分かりやすくなり、満足度も上がり、収益性も改善された。

今回の第二次プロジェクトでは、こどもレスキュー隊員の従業員満足度向上と法人パックの改革が提起された。

NPOといえど大きなくくりでいうとサービス業の僕たち。病院であろうと、保育園であろうと、フローレンスであろうと、活動維持のための収益は、受益者(患者、利用者、利用会員)の満足度に大きく影響される。
受益者の満足度は、従業員満足度に大きく影響される。対面・サービス産業の宿命である。どんなにおいしい料理でも、ウェイトレスが咳をしながら料理を出したらまずくなる、のと同じこと。ゆえに従業員が満足してモチベーション高く働いていることは、収益と活動の維持に直結する。

物販ではあるが、例えば本屋さんの業界。代表プレイヤーの丸善等が一桁代前半の利益率であるのに対し、ヴィレッジヴァンガードは10%の利益率をたたき出している。

それは店長に大幅に権限を委譲し、店の陳列やポップ、BGMなどを工夫でき、やりがいが感じられる制度設計をしているからだという。

スーパー業界でも大型SCに比べて、中小のオオゼキが非常に高い利益率を誇り、衣料業界ではシマムラが好成績であるのも、同様の理由だと分析される。

NPOの従業員は総じて一般的には志が高くモチベーションは高いが、満足度が高いかと言うと微妙なところだ。処遇は明らかに一般企業よりは悪いことが多いからだ。

弊社フローレンスも例外ではない。通常のベビーシッター会社ではありえない、「固定給」制度で生活が成り立つようにする等の努力はしていたつもりであったが、利用者満足度を従業員(保育スタッフ)満足度は圧倒的に下回る。

今後は彼らが生き生きと働けるよう、プロジェクトチームを作って制度構築をしていくつもりだ。そうした方向性を導き出せたのは、今回のベインアンドカンパニーさんのプロボノ・コンサルティングのお陰だ。

ベインさんのコンサルティングモデルは、今後のNPOコンサルティングのモデルケースになっていくのではなかろうか。彼らの特徴は、100%コミット(参画)してくれるコンサルタントをアサインしてくれることだ。そのコンサルタントを中心に、25%コミットや10%コミットの方が何人か集い、チームを作ってケースに当たってくれる。

ゆえにアウトプットのパフォーマンスが非常に高い。中間支援組織などによくある「相談」のレベルではなく、手を動かしシミュレーションシートなどの「ブツ」が出てくるので、その場限りではなく継続して戦略が立案しやすくなる。

今後、多くのコンサルティングファームや会計事務所、ITベンダー等がこうした形でプロボノを行ってくれることは、NPO業界の底上げに非常に寄与するだろう。

NPO側の勝手な要望は置いておいて、では手助けする彼らのメリットは何だろうか。ベインの方々が言うことを素直に受け取ると、従業員モチベーションのアップとトレーニング機会になるという。

社会問題に直結したケースを扱え、明らかな成果を残せる、という楽しさ。ベインにいるとこんなに意義のあることができるんだ、ということで従業員のコンサルタント達のモチベーションが上がる。

現にベインアメリカではソーシャルビジネス用のコンサルティングNPO(ブリッジスパングループ)を持っていて、それ目当てで優秀な志の高い学生がエントリーしてくるという。

またソーシャルビジネスの現場で全体感を持ちながら大きな戦略的意思決定に絡んでいく、というのは、コンサルタントに必須のリアルな経営体験を知るには非常に良い機会になるという。

そんなわけで、Win-winの(NPO側にとってのWINの方が全然大きいと思うが)関係性が築ける可能性が広がっていると個人的には思う。
(とはいえコンサルを受けるNPOサイドがきちんとオペレーション数値や財務数値を出さないと分析しようもなかったりするから、NPO側の経営スキルもある程度の基準に達していなくてはいけない。)

一方、セカンドハンド(フルコミットの人がいない)・コンサルティング的な領域での可能性はないかというと、今回のように超重要な経営意思決定に関しては難しいのではなかろうか。どうしても現場とコンサルタント側の温度感と知識量が違ってしまい、運命かけるわけにはいかなくなるからだ。

ただサービスグラントさんのように専門知識を使って領域を絞る(WEB・チラシなどの広報)等の形でなら機能するのではないだろうか、と思うし、それはそれで非常に大切な役割だ。(フローレンスのWEBはサービスグラントさんにリニューアルして頂きました。)広報、財務、営業、等のいくつもの専門領域を色んな機会でカバーしてもらえれば、NPO側としても大きく成長していくだろう。

コンサルティングという形ではなく「気づきの場」を与えることに徹するETIC.型のアプローチもありうる。多くの中間支援団体が現実的に可能なのは、このアプローチであろう。専門的な意思決定には不向きだが、起業期や起業後3年程度はこちらの方が現実的かつ効果的ではあろう。

今後の方向性としては、財団等が単に助成金を渡していくのではなく、プロボノコンサルタントによるサポートとアウトプットの評価を踏まえて、助成していくスタイルが出始めても良いのではなかろうか。イベントやって終わり、的な少額助成金をばらまくのではなく、新規プロジェクトや重要基盤事業に中大規模に投資し、精度を上げるためにプロを並走させる、というような形の戦略的助成が望まれるような気がする。

いずれにせよ、まともにお金払ったら数千万円くらいになる支援をして下さったベインさんに恥じないよう、このご恩を社会に対してペイフォワード(恩をそのまま返すのではなく、バトンのように他者に渡していくこと)していかなければと思う。

ベインの優秀なコンサルタントの皆さん、ありがとうございました。

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当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
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posted by 駒崎弘樹 at 14:32 | Comment(1) | TrackBack(0) | 業務日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ありがとうです。勝手にとっても参考になりました。15日も楽しみにしてますー。
Posted by たつみ at 2009年04月07日 06:50
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