ワークライフバランスという言葉の日本での提唱者であるパク・ジョアン・スックチャさんと恵比寿でビジネスディナー。
パクさん曰く「先日山口教授に、このままだとワークライフバランスは、就業版『ゆとり教育』になってしまう、と言われた」とのこと。
パクさん自身も「ワークライフバランスという言葉を使わないでほしい」というオーダーを企業研修時に言われるようになったという。
理由は、ワークライフバランスという言葉をめぐる、多様な理解だ。
本来であればワークライフバランスは仕事以外の時間の充実により、知的成長と心身の健康が増し、更に生産性を向上することで個人にも企業にもベネフィットをもたらすものであった。
しかし現在、「ワークライフバランス=仕事はそこそこでゆるくプライベートを楽しもう=ゆるキャリ」文脈で使われることが増えてきてしまった。これは本来意図していなかった使われ方で、そうした意味合いで流通するようになってきた。
僕たちも初期からワーディングの普及に努め、ここ2年で相当の市民権を得てきてやっとひと安心したにも関わらず、こうした事態になり、苦々しい思いを感じるが、彼女にしてみたらなおさらだろう。
一度世の中に広まっていくと、軌道修正というのは容易ではない。さりとてせっかく広まった言葉を投げ出してしまっては、コミュニケーションや言説の土台が失われてしまうことになる。
ムーブメントをどこに方向付けていくのか。我々ワークライフバランスを推し進めてきた実務者達の多くで、踏み込んだ議論を交わしていく場が、今こそ必要ではなかろうか。
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