
アンデルセン、福祉を語る ―女性・子ども・高齢者
G・アスピン・アンデルセン
社会福祉を語るなら、読んでないとモグリなのが、このアンデルセン。
研究者のAさんからお勧めされて新刊を一読。アンデルセン本の中では
最も読みやすいと感じた。
以下、重要な部分をメモ代わりに抜粋。
P24
・補助金が支給された保育サービスの恩恵を受ける女性は、長期的には生涯所得の上昇と納税を通じて、初期の補助金(金利込みである!)を返済することになる。初期の公的支出が7万2850ユーロとすると、母親の追加所得に対する納税額は11万ユーロとなる。よって、財務省の投資利回りは43%(3万7150ユーロ)ほどとなる。
P79
就学前の学習障害児となる心配のある子どもに対する良質な介入政策は、
持続的に大きな効果をあげる。(中略)こうした良質なサービスは、子どもの成績や費用効率という観点から、非常に効率がよいと思われる。子どもが27歳になるまで、子どもの犯罪の抑制や学習能力の著しい改善などにより、投入した1ドルあたり5.7ドルの投資リターンがあると言われている。
P80
学業に対する一般的な利回りが約10%であるとすれば、就学前の子どもに対する投資利回りは20%程度に達するであろう。(中略)
よって、これは子どもの早期集団保育や、質の高い保育施設の財源を支持するための非常に確固たる論拠となる。
P83
乳幼児の集団保育は、子どもが15歳になったときに受ける認知能力テストの成績に何らかの影響をおよぼしたかどうかを、PISAのデータから探ることができる。大部分の国々では、かなり早い時期から保育所を始めとする就学前の施設に通った経験は、PISAの好成績につながるようだ。(中略)
すべての国民が均等で良質な保育施設を利用できるようになれば、学歴や教養の低い家庭の子どもは、知的刺激の欠如を補うことができるであろう。
著者が言っていることを日本の文脈で当てはめるとこうだ。
いわゆる「こどもが小さいうちはママが育ててあげないと」的な家族主義は何の根拠もなく、そうした言説は親の就労を妨げ、かつ保育行政の優先順位を間違っておいてしまうがゆえに、有害であるということ。
更に一定の確率で発生してしまう「どうしようもない親」に対して、「最近のん親は昔と違ってどうしようもない」と言っても効果は全くない。(昔からどうしようもない親は多々存在した。)
そうではなく、どうしようもない親のどうしようもない家庭環境(文化資本)から切り離して良質な影響を与える保育サービスを行うことが、「べき論」を離れた現実的な策であるということ。
また、政府は「待機児童問題はきりがない。保育所を作っても作っても就労したい人が出てきて、足りなくなる」等と言っているが、就労する人が出てくるのは全く結構なことなのである。その人が生涯に払う税金と、労働力が経済に与える影響と、その子どもたちの犯罪抑制率でペイできるだろう。(ヨーロッパでは税金が高いため、高利回りですらある。)
保育政策は費用ではなく、投資なのである。
最後に私見だが、待機児童問題は、完全に政治災害である。補助金まみれになった既得権益である認可保育園を経営している社会福祉法人達の業界団体達が政治的な力を持って、参入障壁を無用に高くしている状況だ。
これまで自民党は業界団体との繋がりでこれを打破できなかった。(しなかった)
更に政治圧力がこないよう、保育園たちは親を動員する戦略を発動。「保育を儲けの場にするな」「民営化すると子どもがかわいそう」という論陣を張り、親の動員と世論形成に成功した。これで新規参入を阻む規制は温存され、改革の工程表は限りなくスローペースになる。
かくして既得権ベタベタの業界、彼らに説得された親たち、そして親たちからちゃんと票が欲しい政治家、現状維持が最も低リスクだから現状維持したい官僚機構、という四すくみの状況によって、待機児童問題はなくならないのだ。官僚を叩いてすぐ問題が解決するのだったら、どんなに楽だろうか。
このままだと永遠に解決しない待機児童問題ですが、「うちの子は入れた、入れない」の向こうに、正に国家的な損失があることを、皆さんはご存知でしたでしょうか?
※補足
ちなみに保育園を民営化せよ、と言っているわけではなく、医療保険や介護保険など公的な(つまり我々の税金)の入った、市場の獰猛性を中和させた、価格競争なき「第3の市場」を創設すべし、というのが私のポジションです。
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当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
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NPO法人ETIC.の細田さん宛にご連絡頂ければと思います。
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これからもどうぞ宜しくお願い致します。
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こんにちは、tae@沖縄です。
うーん、子供が保育園時代役員などしてきたので、民営化問題はとても身近でした。
大阪府S市というK党が支持率が高い、保育園で6年、富山県T市というJ党命!の地域で2年子供を保育園にいれましたが、驚くべきことに、富山のほうが民営化が進んでいるのですね〜。両方いいところはあるのですが保育の質としてはS市が断然上でした。
○
税金の入った、市場の獰猛性を中和させた、価格競争なき「第3の市場」を創設すべし
⇒安全で、質が高く、値段が妥当
であれば、親は保育園の形態がどうであれ
預けると思います。
親御さんとしての肌感覚のあるフィードバック、ありがとうございます。
現在の民営化と、「第三の市場」(準市場)というのは、似て非なるものなんですね。現在の民営化は、単なるコスト削減ですので、頑張る民間はありながらも、コスト削減圧力によって人件費を削らざるを得なくなり、質が落ちるということも、ままあろうかと思います。
僕の提言は、現在参入規制の厳しい保育園に直接注ぎこまれる補助の形を、親に配布する方式です。親の購買力が上がることによって、待機児童で困っている地域には民間が果敢に参入するインセンティブが高まります。
現状の民間委託へのアレルギーが、こうした第三の道への門を閉ざしている、という現状は悲しむべきことであると思っています。
その本は、わたしもぜひ読みたいと思います。
保育行政の壁
民営化の是非
そして やっぱりそのなかでも成長してきたいくつかの民間保育会社
費用も高いし
事業所内保育所などは一度委託をとれば、あとは競争相手がいないし、国からの補助金もあるし「寄生虫」的に成長した会社もありますね(あっ言葉がきつい??)
民間委託にした時の“悪い例”をつくってしまったような実例もあるから(それこそ半分癒着した社会福祉法人など)
ますます、これからの人が不安になるのだろうなと思います。
地元の人に信頼されていたり 既存の利用者に愛されていたり、というところと限らないようですから、採択されるのは。
駒崎さんの「第三の市場」興味深いです。
まとまらないですが これで。
他人に言われたことを鵜呑みにせず、自分なりに考えて、自分自身が納得できたことを、自分のスタイル・方法で、行動に移したいと考えております。
駒崎さんのおっしゃる「第三の市場」について、じっくり、詳しく、教えていただきたいです。