2008年06月22日

【日記】「月60時間以上の残業代は50%増し」の政府案を考える〜残業権取引市場の創設を〜



現在政府では、世界に冠たる「長時間労働大国」日本の状況改善のため、
従業員が月60時間以上残業した場合、61時間目から残業代を25%増しから、
50%増しにしよう、という方向で議論を重ねている。


僕も企業経営者なので、人件費が1.5倍になる、というのは相当つらい。
つらいから、経営者が残業させないよう、負のインセンティブを与えよう、
というのがこのアイディアの基底部分にある。

長時間労働是正の志や良し。ワークライフバランスコンサルティングを
事業とする僕達としても、理念には共感する。

しかし、残念ながらこうした「キャップによる負のインセンティブ」では、
「従業員間の不公平感」を埋めることはできない。

現在皆さんの職場でもあるだろう。残業代稼ぎたいからダラダラ職場に
残っている、「粘着社員」が。

彼らは8時間で終わる仕事を10時間、11時間でこなすことによって、個人的な
経済合理性を追求する。

すると、「仕事を効率よくこなしている人が馬鹿を見る」という状態になる。

これが職場における「残業ギャップ」だ。

さて、これに対しては残業時間数を評価の対象とするなど、各企業において
対応策が考えられるのだが、「必要な残業」と「不必要な残業」の区別が
難しいことで、運用が難しくなるのが、よくあるパターンだ。
残業は評価が下がる、と評価制度を変更してしまうことも、
勢い、残業時間は地下にもぐっていき、サービス残業の海が形成される
危険性をはらむ。

こうした問題に対して、思考実験だが環境問題に知恵を借りるのはどう
だろうか。アメリカで行われた二酸化硫黄の排出権取引や、現在世界的に
行われている二酸化炭素の排出権取引などをモデルケースにし、国内に
おいて「残業権取引市場」を構築する。

ある時間以上、例えば社員一人当たり40時間を越えた残業をさせたい企業は
他の企業から残業権を購入。こうすることで仕事を早く終わらせることは
会社の利益を増す、ということで職場における残業への意識が劇的に変わる。

また、市場化することで、どの会社が生産性が高く、どの会社が低いのか、
というマップが一目して分かるようになる。
現状のキャップ制ではそれがない。負のインセンティブは創られるが、
閉じられた仕組みだからだ。

権利さえあれば残業させまくって良いのか、という批判が出そうだが、
これは権利さえあれば二酸化炭素だしまくって良いのか、という批判と
同じで、二酸化炭素の場合は総体としては政府によるキャップ制よりも
市場化した方が排出量は減っているので、全体的合理性を考えれば
批判は成り立たないかな、と。

二酸化炭素排出権取引市場の創出においてはEUにいいようにイニシアチブを
取られて後手後手に回ってしまっている日本なので、労働生産性向上の
起爆剤に市場原理を導入してみてはどうだろうか。
日本は先進国で最も生産性が低い国で、その生産性の低さを勤勉なる長時間
労働で埋め合わせ、それによって少子化や女性の就業率の低さなど、様々な
問題を引き起こしている、世界にも珍しい国なのだから。


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posted by 駒崎弘樹 at 20:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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